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Individual Archives : 瞼の裏、夕焼け、風景

0922

06/09/22 瞼の裏、夕焼け、風景中野駅の線路沿いにあるカフェの窓際の席に陣取ってムッシュとチョコレートブラウニーを食べていた。ふと顔を上げて東側の空を見たら、高層マンションの西側の外壁が焼けるように真っ赤に染まっていて、驚いて西の空を振り返ったら、息を呑むほど美しい夕焼けが広がっていた。

ムッシュがカフェの窓際から写真を撮った時はまだ柔らかい茜色の夕焼け雲。私が表に飛び出して線路の脇から撮ったのはわずか5分後、もう空は唐紅に染まり、吸い込まれるというよりも飲み込まれるような怖ささえ感じた。

夕焼けに向かって一直線に伸びる中央線の、蛍光灯の白々とした灯が夕焼けの中で歪な光を放っている。時折轟音と共に流れていく電車の車内から漏れる光も、ホームの灯も、電柱から突き出している街灯も・・・人工的な光が、圧倒的に空を支配する夕焼けに飲み込まれていって、それでもなお”人が暮らす証”とでもいいたげに白く光っている。
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夕焼けといえば忘れられない風景がある。
結婚する前、私は撮影の仕事から離れて上高地でバイトをしていた。
春から晩秋にかけて観光客が入山できる上高地は、自然保護のための車両規制が厳しく、観光バスやタクシーが入山できる時間も早朝から5時頃までと限られていた。4時過ぎともなるとバス停には下山する観光客で溢れ、5時過ぎには宿泊客をわずかに残して上高地は静まり返る。

この静かな夕方が一番好きだった。
日中にはあれほど居た人の気配が全く無くなり、梓川の水音だけが聞こえる中で、柄沢岳が徐々に茜色に染まっていくのを見上げる。ほんのりと柿渋色に色づいた空が次第に紅に変わり、そして山の稜線が夜の闇に溶けていくまでの1時間ほど、毎日のように川辺のベンチに座って自然が繰り返す美しい表情を堪能した。
日帰り観光客はこの夕焼けを見られない。秋の夕焼けが始まるのは観光客が帰った後からなので、これを見られるのは宿泊客と上高地で働く人だけだった。もちろん、朝もまだ明けやらぬ大正池の霧がかった水面も、夜更けの空を覆いつくす満天の星も然り(星空が苦手な私には背筋が寒くて仕方が無かったけれど、これもまた良い思い出)。
昼の顔とはまた違う上高地を飽きるほど独り占めできた気がして、この頃の思い出は今でも大切にしているし、多分一生忘れるなんて出来ないと思う。

風景とは本当に不思議だ。何の予告も無く思い出す。切ない時もはしゃいでいる時も、ふとした時に瞼の奥から溢れ出てくる。写真に収められなくても、言葉を尽くして語らなくても、褪せることなく風景は瞼の裏にある。

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9 Comment
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  • 志ま (06/09/22)
  • コメントは久しぶりです。ご無沙汰していました。

    とても綺麗な夕焼けですね。私も写真に収めようとするけれどもなかなか難しいです。

    私にも忘れられない空があります。watalissさんと同じように長野のバイト先で見た空です。私が見たのは朝焼けでしたが、様々な色が空一面に広がって仕事どころじゃなかったことを思い出しました。

  • kd (06/09/23)
  • ごぶさたしております。。。すてきな贈り物をいただきましてありがとうございました!
    この夕焼けって、昨日のですか?私も、つい数日前にあまりに夕焼けがきれいだったものだから、アパートの外まで飛び出して、写真を撮ったところだったんです(空がきれいに写るフィルターを買った、というのもありますが・笑)。
    本当にきれい。
    そして何より、最後の一文にほだされました。
    ひとつひとつは端的なのに、迫るものがありました。私もそんな風景を、思い出しました。

    10月には落ち着くと思うので、ぜひ、手芸部講習会を♪

  • アスカ (06/09/23)
  • 今日は。はじめまして。
    アスカと申します。
    いつもわくわくしながら読ませていただいています。


    普段はPCの前でひとり、
    「わわ!リボンストラップすてき!!」
    「お、おいしそう・・じゅるる」
    と独り言を言っていましたが、
    今日は思わず書き込みしてみました。
    ドキドキしております・・


    遠い大阪の地ですが、私も昨日の夕やけにみとれていました。
    会社帰りの駅のホームだったので、
    「夕焼けの~」の文章で昨日の気持ちを思い出しました。
    まったく違う場所で同じように空を見上げていたのだと思うと、
    不思議な気持ちです。


    初めてのかきこみなのでドキドキして
    文章がおかしかったらすみません・・
    それでは。また伺います

  • マユ (06/09/25)
  • 絵に描いたみたいなキレイな夕焼けですね~
    秋の空ってこんな感じなんでしょうか。
    夕焼けを見ると子供の頃を思い出します。
    茜色の空の下で「早く帰らないと怒られる~」
    と、体は前に顔は上にという姿勢で家路を
    急いだものでした。
    雲一つない青空もいいけれど、夕焼けもまた
    情緒があっていいですよネ。

  • y_and_r_d (06/09/25)
  • ブログを見るようになってから
    気がついたことがあります。
    写真が好きなので
    つい写真ブログを見てまわるのですが、
    ある時一斉に夕焼けの写真がアップされるんですよ。
    たぶんこの夕焼けの写真も
    至る所で見た写真と同じ夕焼けなのでしょう。
    見ず知らずのヒトが、それぞれの場所で、
    同じ夕焼けを見て、感動している。
    それが形になって見える「ブログ」というのは
    面白いものだなぁと思います。

  • wataliss (06/09/26)
  • **志まさん**
    コンニチハ^^
    秋になって昼も夕も空が綺麗になってきましたよね。ついつい上ばかり見上げてしまいます。
    写真に収めたいのは山々なんですけれど、やっぱり自分の目に焼きついた風景が一番綺麗で、ファインダーで切り取っちゃうと、どうしても断片的になってしまうのが寂しいです。それでもなおカメラ構えちゃうんですけどね(笑)
    志まさんの思い出の空が朝焼け、で思い出しました。私も子供の頃に山登りして、雲海の向こうから上がる朝焼けを見たことがあります(in長野)。青とか紫とか橙とか、あらゆる色が広がりますよね。澄んだ空気と共に記憶にしっかり残っています。

    **kdさん**
    イエイエ、ヘチャムクレで恐縮ですがご愛顧下さいませ^^
    ウ~ン、日にちは違うみたい。私が見たのは連休最終日でした。ここ最近は夕方ともなるといろんな表情が見られて商いですよね。
    空が綺麗に写るフィルターなんてあるんですか?ン~~、眼デジいいな~~!目で見たそのままを捉えたいんですが、やっぱり腕が未熟なのか、いい写真が取れません。kdさんの腕の上げっぷりは目を見張るばかりだし、眼デジ欲が沸いてきちゃうじゃないですかっ=3
    風景って褪せないですよね。逆に記憶が随分脚色されて、再度見てみたら「アレ、コンナンダッケ」てな事もしばしば(爆)。旅先でも、日々の暮らしでも、その時の風景を忘れたくないなぁと思います。

    **アスカさん**
    ハジメマシテ^^。お越しくださって有難う御座います。更新もまばらでオハズカシイですが、いつもご覧いただいて嬉しいです。
    台風が来たり大雪が降ったり、東京とは違う場所でのニュースを見ると「こちらは晴天なのにあちらは大変で・・・日本は広いなぁ」と感じるのですが、場所も空も違うのに、同じ時間に赤く染まる夕焼けに見とれたりすると「世界は小さいなぁ」なんて思ってしまいます。
    きっとあの茜色には、人の心をツンとつつく何かが潜んでいるんでしょうね。
    コメントはどしどしお待ちしておりますので、ぜひまたお気軽にお越し下さいネ^^。
    (私が他所に初めて訪問した時のコメントなんて、激しく意味不明に舞い上がった文章でオハズカシイですのよ^^;)

    **マユさん**
    私は夕焼けを見ると、新興住宅街の山のてっぺんの自宅までヒ~ヒ~言いながらランドセル背負って帰った小学生時代を思い出します(笑)。片道3km以上の道のりだったので、どんどん日が暮れて暗くなっちゃうのが嫌でした。私のほうも「早く帰らないと怒られる~」な気分で、でも疲れて足は進まず、天を見上げながらダラダラ・・・。
    秋になると、日中でもうろこ雲とか凄く綺麗な雲が流れていますよね。抜けるような青空ももちろん綺麗だけど、雲の動きを見ているだけでも面白いので、秋空は大好きなのです。

    **y_and_r_dさん**
    私も同じ事を感じていましたよ。最近ネットパトロール先で何回と無く綺麗な夕焼けの写真を見ました。場所も違えば環境も違う、下手したら国さえ違う場所で、みんなが夕焼け空に見とれるのって、なんだか不思議な気分ですよね。上のコメントでもかきましたけど、あの茜色には魔力が備わっているんだろうなぁ。
    ブログを初めて感じたことの一つに”意外とみんな同じ事思ってるんだなぁ”みたいな感覚です。夕焼けを見て胸を焦がすとか、旬の物を頬張って季節を満喫するとか。感覚がつながっている感じがブログの面白さかもしれませんね。

  • アニ (06/09/27)
  • 久しぶり,アニだよ。


    おぉ,東京もキレイな夕焼けであったか。
    この日は湘南地方もなかなか良かったよ。
    (ブログにも載っけたけど,手抜きで家の窓から1枚撮りました・・・)


    「人が暮らす証」のくだりははいいねぇ。


    おいらも,カメラバカ(最近はチャリバカか?)だけど,
    風景を撮る時には,「人の営み」を一緒に撮ることが好きです。


    単品で美しい桜より,その下で,儚い春の花を愛でる人々を,
    美しい夕焼けの山より,その山に見守られて生きる人々を撮りたい。


    二つ目の例えば,あなたと10年ほど過ごした松本の家から眺めた
    北アルプスを思い出しつつ書いてます。


    雄大な北アルプスに沈む夕日の麓の安曇野では,小さな車が行き交い,
    そこかしこでたき火の煙があり,田圃には水が張られ,,,,涙が出そうです。


    最近のおいらはチビ写真ばかりだけど,風景写真もまた始めようかな。


    と,思わせる,なかなかよろしいエントリでした。95点。


  • kd (06/09/28)
  • ムフフ、やっぱりそうでありましたかー!
    私も撮影したの、連休の最終日でした。
    大体同じぐらいの時間かなあと思います。
    空の方角的にも(笑) 案外近いのですよ~。
    そして、カフェはカルマでしょうか?
    明日は家探しで、中央線をぶらついてみようと思うので、ランチしてきまーす。
    (仕事しろ~というのはナイショ)

  • wataliss (06/09/28)
  • **アニさん**
    ここ数日天気が悪くて夕焼けも見られないけれど、やっぱり秋の空はいいねぇ~。カメラ好きはレンズ換えたりと忙しい時間かもしれないね。

    私は逆に人の気配を排除した写真の方が多いのだけど、時折入ってくる暮らしの一部分がなんとも味わい深かったりして、なんか大切なものをファインダーに収められたような気になります。
    上の切手アイコンをクリックすると拡大写真が出るんだけど、カーブミラーに移りこんだネオンが凄く気に入っている。こういうのが人の営みなんだよね。
    私が思い出すのは、父が撮った『田んぼの水面に夕焼けが映る、そこで作業する人』の写真(確かアルプス公園から見下ろした島内?)。水面も稲も人も茜色に染まって、なんかとても目に焼きついているな。自分で撮ったわけでもないのに、松本を思い出すと必ずあの風景が混ざっているのさ。ホントにいい場所に住んでたよね~。
    95点!高得点だわ♪(逆にマイナス5点が気になってきた。が聞かないでおこう^^)

    **kdさん**
    ビンゴビンゴビンゴですよ~!
    というか、中野でカフェはカルマ以外にあるのでしょうか?!中野に行ったのはコレで2回目なので全然疎いんですが、いい憩いの場所があったら情報プリーズですっ(ムッシュが行きたがっているラーメン屋さんがあるので、遠くない内にまた行きそう。掘り下げるぜ中野)。
    中央線は歩行者からも駅のホームが見えて情緒がありますね。私がこれまで住んでいたところは、道路からはホームが見えなかったので、中央線の見え方が凄く新鮮で面白いです。なんとなくガチャガチャした感じが好きだなぁ。
    アリ?引越し宣言していたから、もう次の住処は押さえているのかと思った。じゃぁ退去日までに急いで決めないといけないんですね、大変だ。
    休日だったらお供しますよっ(実はただの間取り図&内見フェチ。笑)

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