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05/10/27 BookBookBook『木の匙』秋の夜長にホッコリしたいなぁ3冊の本のご紹介、第2弾。

工芸家の三谷龍二さんが初めてのエッセイ『木の匙』(新潮社)を出版した。多くの人に愛される木の道具達を生み出してきて、多くの書籍にも一筆お書きになっている方が初エッセイとは、正直なところ驚いた。
表紙ではポッコリとした木の匙が壁に立てかけられている。沁みのある白茶けた天板と粗いキャンバスのようなテクスチャの白い壁、そして木の匙。それらが不思議な調和を生み出している。

051027kinosaji-01.jpgこの本はおおよそ3つの構成になっていて、一つは三谷さんを代表するスプーンや皿、バターケースといった実用品を紹介しながら、それらを作る工程を語られている。
私はスプーンを持っているのだけど、その使い心地や佇まいを見るだけでも、膨大な時間と手間を掛けて丁寧に形作られているのが分かる。
使うほどにゆっくりとゆっくりと色合いが変化していくのを見ていくのも楽しみの一つ。その時間を楽しむための手入れについても触れられていて、長く付き合うコツを直接作家さんから伺えたみたいで得した気分になった。

051027kinosaji-02.jpg二つ目は三谷さんを取り巻く空間、場所。松本のご自宅やアトリエを中心に、居心地の良さを追求したシンプルな空間が紹介されている。
松本には古くから松本民芸家具を始めとする木工業や民芸品が多数あり、それらに惹かれるのか澄んだ空気に惹かれるのか、多くのクラフトマンもまた、松本に集まってきている。
三谷さんのご近所だったことは前にも書いたけれど、我が家の向かいの女性もギャラリーをやっていた方だったし、母も近所のお友達と一緒に草木染に夢中になっていた。プロはもちろんのこと、普通の人たちもクラフトワークに触れる機会が多い街なのかも知れない。

そして三つ目。私はこれを知らなかったのでページを開いてビックリしてしまったのだけど、三谷さんは器を作るだけの方ではなかった、とだけ書いておきましょう。
まろやかな木のスプーンや滑らかな器からは見えない、三谷さんの躍動するような別の表情を垣間見たような気がして、この三つ目の内容に恥ずかしながら少々興奮してしまった。

何でもそうなのだけど、「こんな風」だとイメージしていた物事が違う一面を持っていると知った時、私は凄くドキドキする。
だから誰かのエッセイは結構好きだ。
「こんな表情があったんだ・・・」という発見が頁の中に潜んでいる。

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